プロデュース企画 2022|EP.5 田中奏一朗 レッスン①
速い曲こそ「フレーズで考える」── 田中奏一朗が解く、フェルリング8番のタンギングと音楽性
課題はフェルリング エチュード集 第8番、楽語は Con fuoco(火のように)。ダブルタンギングが機械的になりがちな速い曲を、田中奏一朗は「テクニックではなくフレーズで考える」という視点から解きほぐしていく。紺野さんにとっては4人目、そして一周目の最後のレッスンとなった回の記録。
受講生の近況 ── 受験生としての夏
レッスンは、司会と紺野さんの近況のやりとりから始まる。この日は珍しく制服姿。始業式を終えたばかりで、紺野さんは受験生としての夏を過ごしてきたという。「サックスか勉強かのほとんどだった」と本人が語るように、浜松の管楽器アカデミーにも参加し、吸収に努めた夏だったと振り返る。
自身で見つけた課題は、タンギングだった。
[2:47]「フェルリング48のエチュードを進めるにつれて、速い偶数番号のタンギングが苦手なんだなって思って。いつもそのタンギングのところ、スタッカートとかのところでテンポが落ちたり詰まったりしちゃうので、そこがちょっと課題点かなと思います」
田中奏一朗のレッスンはこの回が初めて。そして、4人のメンバー全員のレッスンを受けてきた一周目の、最後のレッスンでもあった。紺野さんは、REVのコンサートで田中がアルトを吹いた際の「パワフルさ」「力強さ」を自分にも取り入れたい、と意気込みを語る。
今回の課題 ── フェルリング第8番「Con fuoco」
課題曲はフェルリング エチュード集 第8番。レッスンの冒頭、田中はまず曲頭に書かれた楽語の意味を紺野さんに問う。答えは「熱烈に」。
[5:05]「うん、激しい感じね。火のようにとか」
曲の性格を確認した上で、まずは通して演奏。その演奏を受けて、田中の指導が始まる。
ダブルタンギングは「2つの発音の種類」を聴かせる
紺野さんは16分音符のスタッカートをダブルタンギングで処理していた。シングルタンギングが苦手で、現在師事している先生にも「ダブルでもいい」と確認した上での選択だという。田中はダブルの使用そのものは肯定しつつ、注意点を挙げる。
[6:52]「ダブルのときに気をつけたほうがいいのが、やっぱりその「タカタカ」の2つの発音の、種類を見せてあげるっていうところなんだよね。やっぱり今「タカタカ タカタカ」ってどうしても聞こえてくるというか、ちょっと機械的になっちゃう」
「タ」と「カ」── ダブルタンギングは2種類の異なる発音の連続だが、それが均質に並ぶと機械的に響く。同じ音でスタッカートが続くパターンや、フレーズが変わる箇所で、何を意識しているかを田中は問いかける。紺野さんはシングルの頃は「拍の頭を強くする」意識があったが、ダブルにしてからそれが薄れていたと答えた。
「音の方向性」── どこかに向かいたい意識
機械的にならないための鍵として、田中は「音の方向性」という言葉を挙げる。
[7:54]「ずっと同じ表情だと音楽的にちょっと薄くなっちゃうんだよね。なんかこう、どっかにやっぱり向かいたいっていう意識があるといいんじゃないかなって思う。次の小節の頭だったりに向けて、そういうアプローチが欲しいな」
ただし、それをダブルタンギングのまま行おうとすると、どうしても不自由さが音に出る ── と田中は指摘する。そこで提案されたのが、練習段階での工夫だった。
息の流れを作る ── 一度シングル・ゆっくりで確認する
速い曲は、どうしてもダブルタンギングという技術そのものに神経を取られてしまう。田中は、まず息の流れを作ることの重要性を説く。
[9:00]「1回シングルでゆっくりのときにやって、自分の吹きたい流れっていうのを確認してからダブルにやるとか、アーティキュレーションを変えるって結構いいやり方かなって思う」
速い曲はテクニックに一生懸命になりがちだが、考えることは「奇数番号(=ゆっくりな曲)と一緒」だと田中は言う。どうフレーズを作りたいか ── その本質は、曲の速さによって変わらない。
「ゆっくり練習」には2種類ある
田中はここで、自身の「ゆっくり練習」観を示す。
[10:00]「ゆっくり練習って、自分の中では2種類あって。テクニックのためのゆっくりな練習っていうのと、あとは音楽的なことをしっかり考えるためのゆっくりの練習。やっぱ高速で通り過ぎちゃうと、ゆっくりだと意識できるけど、みたいなところもあると思うから」
同じ「ゆっくり吹く」でも、指を回すための練習と、音楽の設計を確認するための練習は目的が異なる。後者を増やすことで、速いテンポでも慌てずにフレーズを「キャッチできる」ようになる、というのが田中の考えだ。
16分音符を「塊」で捉える
後半、田中はより具体的に、16分音符の一拍を「塊」として感じることを促す。1拍目の頭だけを強調するのではなく、伴奏が付いていたらどこにハーモニーが入ってくるか ── そうした和声的な想像力から、フレーズの自然な抑揚が生まれる。4つ目の音をもう少し保つ、一拍目のグループとして感じる、といった細部の調整を、実演を交えながら確認していった。
受講生の振り返り ── 4人の先生を経て
この回で、紺野さんは4人のメンバー全員のレッスンを一周し終えた。同じことを言われたり、違うことを言われたり ── 戸惑いもあったというが、それをどう消化してきたかを語る。
[16:46]「最初の方はちょっと違うことを言われたり、同じことを何回も言われたりで戸惑うこともあったんですけど、最近はもう自分の中で処理をするようにしたというか。一旦受け止めて、その後自分では考えるようにはしました」
音を早く切りすぎてしまう癖 ── 以前からコンクールの審査でも指摘されてきた点も、REVのメンバーの指導を経て改善に向かっているという。一周目を終え、これからは「より音楽に踏み込んだ内容」へと進んでいく。本番に向けて、技術はもちろん、緊張で本来の演奏ができないことへの対処や、舞台上での表現を学びたい ── そう紺野さんは次への課題を語った。
※ この記事は、YouTube で公開されているレッスン動画の内容をもとにAIが編集・再構成したものです。発言は読みやすく整えており、固有名詞や表現が実際と異なる場合があります。正確な内容・ニュアンスは動画でご確認ください。



