プロデュース企画 2021|EP.10 田中奏一朗 レッスン②〈ピアノ付き〉
ピアノと初めて合わせる ── 田中奏一朗が説く、ドビュッシーの「はっきりさせない」音楽
ピアニストの AKIマツモト氏を迎えての、初めてのピアノ付きレッスン。共演曲ドビュッシーのラプソディを伴奏と合わせながら、田中奏一朗は「バックが何をやっているかを把握すること」、そして方向性も調性も曖昧なドビュッシーの音楽をどう吹くかを、丁寧に解いていく。
初めてのピアノ合わせ
この回は、ピアニストの AKIマツモト氏を迎えてのピアノ付きレッスン。米山くんにとって、共演曲ドビュッシーのラプソディを伴奏と合わせるのは初めての経験だった。まずは最後まで通してみるところから始まる。
まず「バックが何をやっているか」を把握する
本番ではピアノではなくREVのメンバー4人がバックを務める。いずれにせよ、田中がまず求めたのは、自分以外のパートを把握することだった。
[2:54]「まず気にしてほしいのが、バックが何やってるかっていうのを把握するってことだね。テンポ通りに行くとは限らないんだよね。ルバートとかするとちょっとわからなくなっちゃって、不安になるでしょ」
休符のところに、直前で伴奏がどういう動きをするかをメモしておく。スコアと音源を照らし合わせ、自分が入るタイミングをイメージできるようにする ── 入りが不安な箇所ほど、こうした準備が効いてくる。
ドビュッシーは「はっきりさせない」
田中は、この曲の雰囲気そのものに踏み込む。米山くんの演奏は、音の吹き終わりが直接的すぎ、余韻の付け方が全体的に雑だった。フォルテで終わる箇所も、処理を誤ると急に現実的になってしまう。そして冒頭の性格について、前回の自分のレッスンとの対比で説明する。
[6:45]「前回のエチュードのレッスンでは、割と方向性をしっかり持ってっていうテイストだったんだけど、今度は真逆で、方向性が曖昧、調性も曖昧みたいな。そういうはっきりしないっていうのが、ドビュッシーの一つの魅力というか特徴でもあるんだよね」
ディミニッシュ・スケールが使われているこの冒頭は、自分の意志が強くあるフレーズというより、雰囲気が立ち上がってくる場所。向かう・収まるをあまりはっきりやらない方が、らしさが出る。
暗く、湿った音色で
雰囲気を作るために、田中は音色そのものの方向も示す。
[7:47]「上の倍音が多く聞こえると、最初のこのドヨンとしたイメージからちょっと離れちゃうんですよね。だからなんかこう、下の方に重さをつけるような、湿った音を出すみたいな」
明るい音色を多用せず、息の方向を少し下めに入れる。タンギングもはっきりしすぎないようにする ── くっきりさせすぎると「見えすぎてしまう」。曖昧さこそが、この冒頭には必要だった。
練習番号1へ ──「気づいたら入っていた」
オーケストラ(伴奏)が加わる練習番号1への入り方について、田中は感覚的な比喩を用いた。
[10:31]「「はいどうぞ」って渡すよりも、なんかこう、ふわっと体重が軽くなって、気づいたら少し雲の上じゃないけど、1の世界に入ってたみたいな」
軽さ ── お腹で上に飛ばす
続くセクションでは、軽快さが課題になった。この編曲版は元のドビュッシーの譜面よりメロディが多く、他の楽器のパートが当てはめられている。その性格に合わせて、もっと軽く吹く必要がある。
[12:00]「お腹を使って、音が上に跳ね上がるイメージ。結構ストンストンって感じなんだけど、息と音がもう少しお腹の支えを意識してあげて。キュッと閉めて、上に音を飛ばすようなイメージ」
スタッカートも、舌が「面」でついてしまっている。舌は9割が息で、おまけぐらいのつもりで ── 風が吹くように軽く吹くことを田中は勧めた。
ピアノのニュアンスを真似る ──「負けない」と思いすぎない
ピアノ合わせならではの指摘もあった。伴奏のジャッ、ジャッという和音の軽さと、サックスのニュアンスにギャップがある。田中は、伴奏のニュアンスを掴んで真似ることを促す。さらに、コンチェルト的な構えについても助言した。
[14:13]「4人バックに吹くんだけど、こっちはいくらでも落とせるから、あんまり「コンチェルトだ、負けないように」って思いすぎない方がもしかしたらいいかもね。そのせいで今、結構音が痛くなっちゃってたりするので」
フォルテは「力まない」── ひれ伏せるような堂々
強奏の箇所についても、田中は力みを戒める。
[14:53]「フォルテって、力めば力むほど飛んでいかなくなるんだよね、音が。もう少し息は遠くに飛ばすけど、体はすごい楽め。響きを感じながら、自分の音が直線にならないように」
maestoso(堂々と)した感じではあるが、強さを誇示するより「ひれ伏せるような」「眼下に何かを見ている」イメージの方がいい、と田中は表現した。アクセントも直線ではなく余韻を持たせること ── ピアノ合わせを通して、ドビュッシーの音楽の質感が少しずつ形になっていった。
※ この記事は、YouTube で公開されているレッスン動画の内容をもとにAIが編集・再構成したものです。発言は読みやすく整えており、固有名詞や表現が実際と異なる場合があります。正確な内容・ニュアンスは動画でご確認ください。



