プロデュース企画 2021|EP.4 都築惇 レッスン①
「トゥ」ではなく「ドゥ」── 都築惇が解く、脱力・ブレス・タンギングの質
3人目の講師は都築惇。米山くんが「盗みたい」と望んだのは、その優しい音色だった。基礎のスケールからフェルリングまで満遍なく扱い、左手の脱力、ブレスの処理、舌が「触れるだけ」のタンギング、そしてフレーズの前進と着地まで ── 丁寧に積み上げていく一回の記録。
3回目のレッスン ── 「優しい音色」を盗みたい
上野、宮越に続く3人目の講師は都築惇。米山くんがこの日のレッスンに期待したのは、都築の音色だった。
[0:26]「上野先生と宮越先生でレッスンやって、聞いた音の感じとかも全然違うので、都築先生の優しい感じの音色っていうのを、盗むって言ったらアレですけど、どうしたら出るのかみたいなのをちょっと見てみたい」
レッスンは、まず基礎的なスケールから始まった。
左手の脱力と、左右のバランス
スケールを聴いた都築は、指の癖が少なく粒も入っていることを評価しつつ、2点を指摘する。一つは、左手の親指がサムレストから離れる瞬間があること ── これは意味のない動きで、オクターブキーを押す際に余計な動作が増えてしまう。もう一つは、左右の手の力のバランスだった。
[2:02]「指の先端にかけて、もう少し脱力できると、右手と左手のバランスが良くなるのかな。必ず指の形とか脱力感っていうのは意識して練習してみて。上げすぎないということがポイント」
ブレスの処理を「一個一個、丁寧に」
都築が特に大切にしてほしいと語ったのが、ブレスの処理だった。スケールやエチュードでのブレスの扱いが、そのまま曲を吹くときに生きてくるという。
[3:56]「時間かけてもいいから、丁寧にブレスの前の音を処理して、しっかり深く吸って、次のブレス明けの音を丁寧に入るっていう、一個一個の動作をもっと丁寧に」
リラックスした状態で吹いたときの音が一番ナチュラルで綺麗だと都築は言う。その純粋な音を保ち、丁寧に処理することを、スケールのときから意識してほしい、と。
高音は「お腹で支える」
2オクターブ半のスケールを吹くと、高い音域で音が揺れることに都築は気づく。原因はアンブシュアの使い方にあった。
[5:00]「高い音に行くにつれて、息の支えがなくなっているのが気になる。揺れてるってことは、アンブシュアで音をまとめようとしすぎてるから。お腹でやっぱりもう少し支えて、息を保つっていうのが大事」
音が揺れた箇所は、必ずそこだけを抜き出してロングトーンのように練習し、音色を改善するとよい ── という具体的な対処も示された。
タンギングは「トゥ」ではなく「ドゥ」
米山くんが「めちゃくちゃ苦手」と語るタンギングへ。都築は、舌とリードの関係から説き起こす。舌は、振動しているリードに「触れて一時的に音を止める」もの。強く押し付ける必要はない。
[7:47]「グッとプッシュしなくていいです。本当にわずかに触れるだけ。それをイメージして、トゥではなくて、やっぱりドゥなの。ドゥとかルーとか、言葉がもうちょっと曖昧なニュアンスの響きで受けるといいかな」
舌がリードを強く押すと、離すときにも時間がかかり、速いタンギングができなくなる。「触れるか触れないか」の繊細なコントロールが、速さにもつながる。
速さは「一発の質」から ── 自身も遅かった
速いタンギングを求める前に、都築はまず一発の質を上げることを勧める。
[9:59]「早く動かしたければ、ゆっくりの時のタイミングを綺麗にするっていうのが一番近道。僕もめちゃくちゃ遅かったんだけど、そういう練習の方法をやると、だんだん早くなっていった」
「早くしたい」「短く切りたい」ではなく、一発のタンギングを綺麗にするにはどうすればいいか ── そこを考えるべきだと都築は言う。舌の動きは鏡で観察し、喉が動いていないかも確認する。次回はハーフタンギングを扱う、という予告もあった。
フレーズは「1本のライン」── 前進するか、納めるか
後半は曲へ。短調の曲で、都築はレガートの考え方を示す。音と音が別々に聞こえてしまう箇所を、つなげること。
[11:29]「フレーズが長いから、1個1個の音でこう音を吹き替えたりしないで、1本のラインと思って。1個のフレーズで長い息を出すっていうことです」
さらに都築は、音楽の方向性について語る。フレーズの頂点に向かってクレッシェンドし、到達したら納める ── 楽譜に書いてなくても、音楽は常に前進するか納めるかのどちらかである、と。
[13:11]「人と喋っていても、伝えたいことと言葉のお尻とか声色が変わったら、違う伝わり方になるでしょ。それと一緒で、音の方向性とかフレーズっていうのは大切なこと」
ピアノにも「火種」を
弱音(ピアノ)の表現についても、都築は印象的な比喩を用いた。ピアノだからといって、音楽が消極的になってはいけない。
[15:11]「フォルテが赤い火だとしたら、ピアノはもうちょっとこう青いんだけど、確実に温度は高い感じ」
弱音の中でも音の重さは均等ではない。重みを意識して吹き分けること、そして弱音にも芯となる「火種」を持っておくことを都築は促した。
噛み癖への対処 ── 「他の場所に力を入れる」
米山くんが抱える「噛んでしまう」癖について。都築自身も同じ傾向があると明かした上で、本番と同じシチュエーションでのロングトーンを勧める。フォルテで吹く音が多いならフォルテの質感で、高音で噛むなら高音のクレッシェンド・デクレッシェンドで ── 自分の弱点が出る状況を再現して練習する。そして、力の入れ方には逆転の発想を示した。
[18:00]「噛んじゃってるなって思ったら、緩めるんじゃなくて、他の場所にちょっと力を入れてみようっていう感じでやったら、どんどん改善されると思う」
口角や上の方を支えとして、左右の力のかけ方を意識する。噛んでいる場所を緩めようとするのではなく、別の場所に力を配分することで脱力につなげる、という考え方である。
受講生の振り返り ── 1周目の終わりへ
これで3人分のレッスンが終わった。都築の音色の秘密は盗めたか、という問いに、米山くんは「なかなか1回では厳しい」と正直に答える。教わっていることはあるが、まだ自分のものにできていない ── そう語る米山くんに、次回はいよいよ田中のレッスンで1周目が終わる。次は体の大きさと音の関係について聞いてみたい、と次への関心を口にした。
※ この記事は、YouTube で公開されているレッスン動画の内容をもとにAIが編集・再構成したものです。発言は読みやすく整えており、固有名詞や表現が実際と異なる場合があります。正確な内容・ニュアンスは動画でご確認ください。



