プロデュース企画 2024|#4 上野耕平 レッスン①

「はみ出てなんぼ」── 上野耕平が説く、ノンビブラートで音色を変える技術

「曲の中でずっと綺麗な音をキープしたい」と臨んだ柏原くんに、上野耕平はその発想ごと覆す。一つの良い音を守るのではなく、ハーモニーや場面に応じて音色を変えること ── そのために、喉の渦をなくし、息をまっすぐ前に流す、奏法の土台から作り直す。

上野耕平のレッスン。柏原くんが持参したのはフェルリングの5番。「曲の中でずっと綺麗な音をキープするコツ、自分のイメージする音からはみ出さないようにする方法を知りたい」── そんな希望に対し、上野はまず奏法の土台に切り込んでいく。

膝の曲げすぎと、息の「渦」

柏原くんは膝を深く曲げて吹く癖があった。重心を下げるのは大事だが、その体勢をキープし続けるには余計な筋力を使ってしまう。そして上野が注目したのが、息の流れだった。

[4:07]息の流れが変な渦を作っている音がするというか、喉を広げすぎというか。息はストレートに前に送る。音が止まっちゃうか、先に進んでいくかの差なので

── 上野耕平

喉を広げすぎると、高音が裏返る原因にもなる。自分の周りでは豊かに響いていても、ホールでは「ぼやけて何をやっているか分からない音」になってしまう。息を前に流すこと ── ただし「息を出さない」のとは違う。しっかり息を出した上で、どう音色を作るかを考える。

管を「お腹まで一本」にする

息をまっすぐ送るためのイメージを、上野はこう示す。

[7:14]この管が自分のお腹まで一本になるように吹いてほしいってことなんですよ。この形のまんまに息がずっと入っていってくれるような、そういう息の送り方をしてほしい

── 上野耕平

喉・口の中・マウスピース・管体を、お腹まで続く一本の管として捉える。喉が「負けて」広がると、そこに余計な空間ができ、息の流れが乱れる。何も起きていないような形を、筋力で保つ ── それが安定した音の土台になる。

「はみ出てなんぼ」── 音色は変わるもの

柏原くんは「イメージする音からはみ出さないように」と考えていた。上野は、その姿勢を真っ向から否定する。

[7:50]あんまりはみ出しちゃいけないと思ってるかもしれないけど、はみ出てなんぼです

── 上野耕平

[8:30]一つの音でずっと吹いても、それは全然、人間が吹く面白みがない。絶対音って絶えず変化するものだから。このハーモニーはこういう音色かな、こういう時はこういう音色かなっていうのは、変わらなきゃいけない

── 上野耕平

一つの綺麗な音を守り続けるのではなく、ハーモニーや場面に応じて音色を変える。「この曲のここにはこういう音色」という明確なイメージを、必ず持っていなければならない ── それが演奏に人間的な面白みを与える。

音を変えるなら「出す前」から

音色を変えようとするとき、柏原くんは音を出した後に変えようとしていた。上野はそのタイミングを正す。

[10:29]音ってね、出たらもう遅いんですよ。出たちょっと後に何かをしようとしてるんだよね。じゃあその前からやらないと、変わらないんだよね

── 上野耕平

「さっきより明るい」と思うなら、息を吸う段階からそう思って発音する。音が出てから手を加えるのでは間に合わない。トリルも早ければいいわけではなく、どちらの音もしっかり輝いて聞こえ、機械的にならないこと ── 細部の指摘も続いた。

まずはノンビブラートで ── ビブラートは「贅沢品」

ロングトーンで息の入れ方を見直しながら、上野は最後にこの回の核心を伝える。これまではビブラートやテンポの揺らぎで何とか聴かせてこられたが、それでは広いホールで音が届かない。

[19:13]ビブラートも何もかけない、その状態でまずしっかり息を満遍なく流してフレーズを作るっていうのができた後に、ビブラートはもう贅沢品ですから。その後にどう使うかって考えた方がいいね

── 上野耕平

フェルリング1番を、ノンビブラートで、息を満遍なく入れてフレーズを作る ── それを宿題として、上野はレッスンを締めくくった。「ただ吹きっぱなしでは上手くならない。自分の音を常に聴きながら、こうなっているな、じゃあどうしよう、と考えなきゃダメ」── 練習への向き合い方まで含めた指導だった。

※ この記事は、YouTube で公開されているレッスン動画の内容をもとにAIが編集・再構成したものです。発言は読みやすく整えており、固有名詞や表現が実際と異なる場合があります。正確な内容・ニュアンスは動画でご確認ください。

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